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総合法令出版

「富裕層のNo.1投資戦略」特設サイト

高岡 壮一郎(ヘッジファンドダイレクト株式会社 代表取締役社長)著

第1章 なぜ個人投資家の7割が損をしているのか?

Column1. 三井物産入社1年目の頃(1999年~)

Column 1.三井物産入社1年目の頃(1999年~)

私が新卒で入社したのは三井物産株式会社という商社である。1999年当時は就職氷河期で、「東大を出ていても就職できない」などとメディアで脅かされながら各社を回る中で、「剣道一筋12年」が売りの私を拾ってくれたのが三井物産だった。その後、「新卒向け採用パンフレット」に登場し、キャンパスで後輩たちに同社への入社を勧誘していた自分が、まさか31歳で起業することになるとは思ってもみなかった。

入社配属面談で、どこの部署に行きたいのか、人事の方に聞かれた際、私はビジネスの知識が一番身に付くところに配属して欲しいとお願いした。その結果、「海外審査室」という部署に配属してもらった。海外審査室は、各事業部(エネルギーや情報産業、食糧等)が海外に事業投資をしたりする際に、事業性やリスクをデューデリジェンスする仕事だ。実作業で言えば、経営会議等にかける稟議書を作成するということになる。新人である私の世話役はハーバードMBA出身の中堅社員と中国国籍の先輩、直属の上司はハーバードAMP出身のロマンスグレーであった。入社3年目に希望して「情報産業本部」という営業部隊に移るまで、ビジネスマンとしての基礎は海外審査室で鍛えていただいた。

当時のロマンスグレー上司は誰よりも早く出社して、『フィナンシャルタイムズ』(FT)を読み、部下が知っておくべき情報に赤線を鉛筆で引いてくれていた。上司から年次順にその新聞が回ってくるから、私は昼前の午前11時くらいにFTを読むことになる。仕事で読む資料は海外企業の決算書や海外経済レポート等、全部英語で書かれている。メールでやりとりする相手も海外なので当然英語である。こう書くと、大変そうなイメージがあるが、英語圏の書物は実はわかりやすい。結論や要点が先に書いてあるので、ことビジネスの面では英語の方が簡単と言えた。

事業投資や事業計画の審査には、財務・経理・法律の知識が必要になるが、それらは名著と呼ばれる本を読んで学んでいった。とりわけ、ロバート・マートンの『現代ファイナンス論意思決定のための理論と実践』は、投資判断とは何かをわからせてくれた名著で、お勧め本を聞かれたら、いつもこの本を紹介している。

事業投資の審査をするにあたっては、教科書的な知識だけではなく、幅広い実践的な知識が必要だった。しかし、一年坊主には何も知識がない。ただ私が幸運だったのは、入社したのが1999年だったことだ。グーグルが創業したのが1998年。当時はいくつか検索エンジンができたばかりで、今のようにSEO対策コンテンツや玉石混淆の情報がネットにあふれかえっている状況ではなく、名のある専門家の有益な情報がインターネット上で目立つ時代だった。

英語で検索すれば、ビジネスで知りたいことがすぐにわかることに気がついた。さらに私が配属されていた部署には、過去、三井物産が実際に投資をしてきた全案件の稟議書が紙で保存されていたため、あらゆる国のあらゆるビジネスについての知見を得られた。夢中になって情報を吸収した。そのおかげでなんとか仕事をこなすことができた。

私は欧州の担当だったから、ロンドン在住の関係者とメールで仕事をしていたのだが、「日本に仕事のできる奴がいる」と噂になったらしい。その正体が実は一年坊主であると知って、とても驚かれた。それもこれも、インターネットの存在と、部署に紙で保存されていた稟議書の束という先人の良質な知識のストックのおかげである。

その後、私は「インターネット×金融×グローバル」の分野で起業することになる。

「インターネット×金融」は今では「フィンテック」と呼ばれているが、この領域が伸びるであろうという確信は、この入社1年目における稟議書を読んでビジネス全体を俯瞰した経験から来ている。

事業投資の審査担当の末端として、各事業部長や事業責任者の多くと話をした。儲かりそうな良いビジネスを提案してくる人は皆、その人自身に「色気」がある。ダメそうな稟議を書く人は、まったくオーラがない。先輩はそれを「金の匂いのする人、しない人」と表現していた。

色々と理屈を積み上げようと、要は、責任者にビジネスのセンスがあるかないかで周囲は評価するということを知った。

顔がいいとか、頭がいいとか、そういうことではなく、「儲かる感じ」というものがあるのだ。当時の物産の人事評価票の中には「商売センス」という項目があり、会社として公式に能力として認められていた。

私は後に起業、1年後にベンチャーキャピタル他から5億円近く資金調達をした。

当時としては大型の資金調達事例の1つだった。出資をしてくれた企業の1つが東京海上火災保険会社株式会社(現東京海上日動)本社の金融部隊だったが、当時の投資部長が「あの髙岡という社長は、スーパー社長だ。儲かる匂いがする」と言ってくださったと聞いて、調達資金よりも、「商売センス」を褒められたことの方が、嬉しい思い出として残っている。

「直感」と呼ばれる総合判断力の威力も、1年生時代に思い知った。あるとき、エネルギー部隊が有望な企業との取引を開始しようと稟議をあげてきた。その会社は、ハーバード大学MBAで一番賢い男と呼ばれていた社長が率いる先進的な企業。『ウォール・ストリート・ジャーナル』でも絶賛されていて、株価も急上昇していた。そんなセクシーな会社との取引許可を求める稟議で、浅学の私は「優良取引先だ」というコメントをつけて、上席に稟議を回した。

ところが、審査セクションで最終決裁する部長は、この案件を瞬殺で却下した。部長に根拠を聞いたら、「勘だ」という。営業部はざわついた。新人の私にはまったく理解できなかった。その取引先とはエンロンである。三井物産には「勘だ」と言ってドルを大幅ショートしたかロングしたかで大儲けして、その後に日銀の理事に転身した人もいた。

「評論家になるな」とよく言われた。口だけならエラそうなことでも、もっともらしいことでも、誰でも言える。「外資系コンサルってなんかかっこいいですね」とお偉方の前で私が発言したら、「部外者がペーパーにまとめられる時点でもうビジネスとしては枯れている。業界インサイダーしか知らない情報に自分だけがアクセスしているレベル感じゃないと、本当の仕事にならない」とのことだった。

当時はまだ煙草を吸っている人が多かった。なぜかマルボロが多かった。私は吸わなかったが、煙草部屋で色々な話がされているらしいとわかったので、自分も煙草をやるようにした。もちろんマルボロだ。車はBMWが人気だった。私も初めて買った車はBMWだ。シャツは青が人気だった。私のシャツも青となった。物産を退社して起業してからは、煙草をやめた。今は車も乗らないし、シャツも白になった。ヘッジファンドダイレクトの社長として海外の投資案件の分析をしているが、そこだけは今でも入社1年目の頃と同じだ。(コラム2に続く)

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ヘッジファンドダイレクト株式会社代表取締役社長 高岡壮一郎著「富裕層のNo.1投資戦略」

出版社から書籍のご案内Guidance

タイトル 富裕層のNo.1投資戦略
著者名 高岡 壮一郎
ジャンル 投資/資産運用
サイズ 四六判上製
頁数 372P
ISBN 978-4-86280-544-7
税込価格 1,944円(本体1,800円)
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ヘッジファンドダイレクト株式会社代表取締役社長 高岡壮一郎著「富裕層のNo.1投資戦略」
タイトル 富裕層のNo.1投資戦略
著者名 高岡 壮一郎
ジャンル 投資/資産運用
サイズ 四六判上製
頁数 372P
ISBN 978-4-86280-544-7
税込価格 1,944円(本体1,800円)

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